無防備なまま交渉に臨んでも、交渉術に長けた中国人に勝てるわけがありません。



  

できないことは、はっきり「ノー」

【事例】ダメ元・ゴネ得の主張

「日本側に最新型検査機器の無償供与を要求します。5年償却のリース式でいいです。いかがでしょうか。『最新型』をお願いします」

 

主張すべきことを遠慮なく主張するのが中国人です。

 

『最新型』に強くこだわっているようです。

 

「帰国後、改めて回答します」

 

日本の担当者は即答を避け、案件を持ち帰りました。

 

無償で供与するかどうかで会議は紛糾。

 

信頼関係を構築するにはいいチャンスです。

 

中国市場の重要性を考慮して無償供与賛成派もいます。

 

しかし、機械のコスト負担よりも技術者の育成やメンテナンス面に議論が集中しました。

 

中国側がさらに多くの供給をしてくると予測したのです。

 

結論は『無償供与は一時見送り』でした。

 

理由は、仮に供与しても人材の育成や供与後の運用コストを考えると中国側の負担が大きすぎることです。

 

中国側の反発に配慮して、技術者の育成プログラム提供という代案を手に、部長級の責任者を派遣して事態の説明に当たらせることにしました。

 

「大変申し訳ありませんが、こちらで検討を重ねた結果……」と、N部長は切り出し、「今回の申し入れはお断りさせていただきます。その理由は……」「そうですか。分かりました。では、減価償却が終わった中古機器を提供してもらえませんか? 輸送費は日本で負担してもらえると助かります」と、中国側はあっさり別の要求を出してきました。

 

Nさんは、今後の友好関係を左右する大役を任され、考えに考え抜いた結論と代案を準備してミーティングに臨みました。

 

しかし、中国側は最初に要求には強いこだわりを見せず、すぐ別の要求を突きつけてきました。

 

研修で遊園地に行きたい?

「最新型の検査機器を無償供与して欲しい」「減価償却が終わった中古機器を、日本側のコスト負担で提供して欲しい」これらは典型的な『ダメ元・ゴネ得』の主張です。

 

中国側は主張が本当に通るとは思っていないかもしれません。

 

「とりあえず言ってみよう」くらいの感覚で突きつけてきます。

 

『ダメで元々』『ゴネたら得』という気持ちが背景にあります。

 

一方、日本側はこうした要求を重く受け止めてしまいます。

 

持ち帰って検討し、徹底的に協議し、苦渋の選択で結論を導き出し、相手に配慮して「申し訳ありませんが……」と切り出して結論を告げるのです。

 

ところが中国側は、ダメ元ですから「そうですか。では、別の要求を……」と、あっさりしています。

 

こうした気持ちの切り替えは中国人の得意技かもしれません。

 

「検査機器のオペレーションを指導して欲しい」「技術者育成カリキュラムの提供、指導者派遣をお願いしたい」「マネジャー級のエンジニアを日本で研修させたい。その費用をそちらで負担して欲しい」「研修には地方政府の高官を視察に送りたい。受け入れ体制を準備して欲しい」「視察プログラムに温泉をいれてほしい。遊園地にも行きたい」

 

このように中国側の要求はエスカレートしていきます。

 

そのほとんどが『ダメ元・ゴネ得』の主張と考えてよいでしょう。

 

『ダメ元・ゴネ得』への対応策

まず『ダメ元・ゴネ得』の主張を『察知する』ことです。

 

気づくことが大切なのです。

 

『気づく→感情的になって反論しない→冷静に論点を再確認する』というのが基本姿勢です。

 

そして、できないことははっきり「ノー」と答えること。

 

これが最善策です。

 

曖昧な言い方をしない、「イエス」は「イエス」、「ノー」は「ノー」とはっきり伝えることが、中国人とのコミュニケーションの基本です。

 

さらに、あらかじめ『譲れること』を徹底的に考え出し、できるだけ多くの『代案』を準備するとよいでしょう。

 

『譲れること(譲ってもよいこと)』を徹底的に洗い出して準備します。

 

生真面目な気質(?)である日本人は、相手の主張を正直に受け止めてしまいます。

 

「断ってもいいだろうか」「相手に失礼では」「断らずに済む方法はないか」など、真剣に考えてしまう傾向があります。

 

「断る」と決めても、「どうやって断ろうか」「相手に配慮した断り方はないか」「断った後、関係に亀裂が入らないか」などと考え込んでしまいます。

 

しかし、できないことは「できない」とはっきり言うべきです。

 

はっきり断っても、気持ちの切り替えが早いのが中国人です。

 

どう断るかで悩むより、『できること』で最善を尽くすのです。

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